「どんな人生もいいものだ」
藤木 美奈子
私は幼い時から、人一倍苦労するよう生まれつきました。
孤児だった十代の母と2人、私は全国を転々として暮らしました。
父は在日コリアンだったので、いっしょになれなかったと聞いています。
小学校のとき、たび重なる転校先で、いじめは当り前のことでした。
4年生の時、母親は自殺をはかり、障がい者になってしまいました。
それから私は、当時義父だった人から虐待を受けつづけました。
高校を卒業してすぐ、結婚に逃げ込んだ私を待っていたのは、
激しいDV(夫・恋人など親しい間柄の暴力)でした。
私はこころとからだを病みましたが、すべて自分が悪いのだと思っていました。
やっと地獄のような生活から逃げ、職業訓練校と大学で学び始めたころ、
私はそれまでの26年間にもわたる家族からの暴力によって、
自分自身を含む深い人間不信に陥っていました。
激しい怒りと不安から、どんな仕事もつづかず、自分と他人を傷つけつづけました。
「自分はもう生きているべきではない」そう考えるようになったのです。
そんな時、私を救ってくれたのは、内なる心について書かれた本でした。
「しなければならないこと、してはいけないことなど何もない。
あなたがどのように生きたいか、どんな人間でありたいと思うか、
生きる指針はそれだけだ」
つねに自分を責め、親を憎み、生きることに絶望していた私にとって、
「どのように生きてもいいんだよ、すべての人生が素晴らしいのだ、
そしてすべての試練は幸福のためにある」と、
私のこれまでの人生を完璧に肯定してくれたこの言葉は今でも私の宝物です。
やっと自分を愛する努力をはじめた私は、人生を大きく変えることができたのです。
私は今、愛する家族とともに生き、作家として本を書き、
社会的に無力な人々の声を代弁するため、全国を講演で駆け回っています。
あの試練はこのためにあったのだ、今、心からそう思えるのです。
私を変えた出来事」376頁より
発行:PHP研究所
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